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空き家の相続放棄はリスクもある?手続きや管理の注意点を解説

不動産売却お役立ち情報

佐藤 貴貞

筆者 佐藤 貴貞

不動産キャリア25年

不動産の購入・売却・賃貸は、多くの方にとって人生の大きな決断です。
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不動産は専門用語や分かりにくい仕組みが多いため「難しいことを、誰にでも分かる言葉で伝える」ことを大切にしています。
お客様の状況やご希望を丁寧にお伺いし、無理なご提案はせず、本当に納得できる選択をしていただくことを最優先にしています。

「空き家を相続したけれど、どうしたら良いかわからない」と悩んでいませんか?実は、空き家の放置や相続放棄には、思わぬリスクが潜んでいます。本記事では、相続した空き家を放置するリスクや相続放棄の基礎知識、放棄後の管理責任、そして有効な対応策についてわかりやすく解説します。知らずに後悔しないために、ぜひ最後までご覧ください。

相続した空き家を放置するとどのようなリスクがあるか

相続によって空き家を取得した場合、それを放置しておくことには複数の重大なリスクが伴います。まず、建物は人が住まなくなると急速に劣化が進みます。木造住宅を中心に、換気不足による湿気・カビの発生、配管の固着、雨漏りなどが進行し、築年数が浅くても空き家期間が1年を超えるだけで査定価格が2割から3割ほど下がることもあります。

リスク項目詳細影響
建物劣化湿気・カビ・雨漏りの進行査定価値が2〜3割下落
税負担の増加固定資産税・都市計画税の継続した発生支出が継続し累積負担に
特定空き家認定適切な管理がされず認定される可能性固定資産税が最大6倍に跳ね上がる

また、税金の問題として、所有しているだけで固定資産税や都市計画税の負担は免れません。「住宅用地の特例」が適用されずに更地扱いになると、固定資産税が最大6倍になるケースもあり注意が必要です。さらに、空き家等対策の推進に関する特別措置法により、所有者には維持管理の義務が課されており、草刈りや清掃、修繕などの費用が継続的に発生します。

最後に、行政による「特定空き家」としての認定リスクも無視できません。おおむね2〜3年ほど放置が続くと、倒壊の恐れや衛生環境の悪化などで認定されるケースが増えており、こうなると行政による指導・命令、さらに過料(罰金)の対象になる可能性もあります。

以上のように、相続された空き家の放置は「資産価値の減少」「税負担の累積」「法的・行政的リスクの顕在化」といった多岐にわたるリスクをもたらしますので、早期の対応が重要です。

相続放棄の基本と手続きに関するポイント

相続放棄とは、被相続人(故人)の財産や借金などすべての相続財産を一切引き継がないとする制度であり、たとえ空き家のみ相続しないという選択は認められません。つまり、空き家だけを放棄してもほかのプラスの財産だけを相続するといった限定的な放棄はできません。この点は法律上明確に定められており、すべての財産についてまとめて判断する必要があります。

項目内容
相続放棄の対象被相続人のすべての財産と債務
空き家のみ放棄不可(すべてまとめて判断)
メリット/デメリット借金負担の回避は可能だが、預貯金などの資産も放棄

上述のように、相続放棄を選ぶことで借金や空き家の管理負担を避けられる一方で、預貯金や他のプラスの財産もすべて失うリスクがあるため、慎重な判断が必要です。

相続放棄の申立ては、原則として「相続の開始を知った日」(たとえば故人の死亡を知った日)から起算して3カ月以内に家庭裁判所へ申述書などの必要書類を提出しなければなりません。この3カ月は“熟慮期間”と呼ばれ、申述が期限内に提出されない場合、相続を単純承認したとみなされ、借金や管理義務を含めてすべての財産を相続することになります。

ただし、やむを得ない事情がある場合には、家庭裁判所に「熟慮期間の伸長(延長)」の申立てを行い、期間を延ばしてもらうことが可能です。例えば、遺産調査に時間がかかる、複数の地域に不動産がある、債務の内容を確認する必要があるなどの事情がある場合には、1回あたり一般的に3カ月程度の延長が認められるケースもあります。ただし、期間延長の申立て自体も、期限内に行わなければ認められない点に注意が必要です。

なお、相続放棄が一旦家庭裁判所で認められると、原則として撤回はできません。したがって相続財産の内容が不確実である場合は、専門家による入念な確認のうえで手続きを進めることをおすすめします。

相続放棄後の管理義務や責任について

相続放棄をしても、「現に占有している」空き家については、管理義務(保存義務)が残る場合があります。これは2023年4月施行の民法940条改正により明確化されており、相続放棄と不動産の管理責任は切り離せない点にご注意ください。

状況管理義務の有無内容
放棄時に空き家を現に占有している 有り 他の相続人や清算人に引き渡すまで、自己の財産と同様の注意をもって保存
放棄時に占有していない空き家 無し 管理義務の対象にはならない
全員が相続放棄した場合 有り(最後の放棄者に) 家庭裁判所による相続財産清算人の選任後、管理義務はその清算人へ移行

以下、3つのポイントを整理してご説明いたします。

1.“現に占有している”場合の義務
放棄の時点でその空き家を実際に使用・管理している、たとえば鍵を管理し、定期的に立ち入っているなど、事実上支配している状態であれば「現に占有している」と認定されます。その場合、次に管理を引き継ぐ者が現れるまで、自己の財産と同様の注意で保存しなければなりません。

2.占有していない場合は義務が消滅
相続放棄をした時点で、その空き家に全く関与していなかった場合は、管理義務は発生しません。遠くに住んでいて長期間関わっていなかったなど、明らかに占有とは言えない場合は、この義務の対象外となります。

3.全員が相続放棄した場合の対応
すべての相続人が放棄した場合でも、最後に放棄した者には相続財産の保存義務が残ります。その際、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、その清算人に空き家を引き渡すことで管理義務から解放されます。ただし清算人の選任には裁判所への申立てや予納金(50万円~100万円程度)が必要になる可能性があります。

まとめ
相続放棄したとしても、空き家を“現に占有している”場合は管理義務が残るため、早めに他の相続人への引き継ぎや家庭裁判所による清算人選任などで対応することが重要です。

相続した空き家に対して考えられる対応策の選択肢

空き家を相続された際には、単に放置するのではなく、早期の対応が重要です。まずは相続によって発生した所有権を速やかに名義変更(相続登記)することで、売却や処分といった次のステップに踏み出せる状況を整えられます。相続登記は法令により義務化されており、相続後遅くとも3年以内に行う必要があります。

また、管理が困難な遠方の空き家については、空き家管理サービスに管理委託することで、通気・通水、郵便物回収、庭の巡回などを代行でき、安心して維持できます。基本料金は月々5,000円~15,000円程度が相場で、追加作業が発生する場合にはオプション費用が必要です。

さらに、活用や処分の選択肢として、売却や譲渡のほか空き家バンクへの登録(自治体によるマッチング)や、相続土地国庫帰属制度の活用、さらには非営利団体への寄贈といった多様な手段が考えられます。これらを表にまとめて比較検討することで、ご自身の状況に最適な方法を選べます。

対応策 概要 特徴・ポイント
相続登記 相続した所有権を法務局に登記 登記義務(3年以内)により、売却や処分などの手続きが可能に
管理委託(空き家管理) 業者やNPOへ定期管理を依頼 月額5,000~15,000円程度で、巡回や清掃など代行可能
売却・寄贈・国庫帰属など 空き家バンク、寄贈、国庫帰属制度などの活用 売却は譲渡控除、空き家バンクは自治体マッチング、国庫帰属は建物解体など条件あり

まとめ

空き家を相続した場合、放置してしまうと資産価値の大幅な低下や税負担の増加、行政指導などさまざまなリスクが発生します。相続放棄は空き家だけでなくすべての財産を手放す手続きで、期限や管理義務など注意すべきポイントが多くあります。放棄後も管理責任が残ることや、全員放棄の場合には特別な手続きが必要です。円滑な対応のためには、早期の名義変更や専門家への相談、各種制度の活用を総合的に検討することが重要です。悩んだ際は一人で抱え込まず、まずご相談ください。

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